なっとう⇒うなぎ
うなぎ
恐牛病騒ぎが国内でも始まって半年ほどしたころ、武部さんが農水大臣として焼肉をやってヒンシュクを買ってしばらくした頃。
焼き肉食い放題に行って、遠慮なく腹いっぱいになりたいという、食べ盛りの長男の主張が通り、一家総出で出かけたら、店は大いに繁盛していた。
牛肉コーナーは大いに縮小していたが、代わりに寿司が勢力を拡大していた。
ケーキ類のデザートも10種類以上あり、フライものやスパゲッティ、ラーメンにうどん、炊き込みご飯、にカレーということになっており、焼肉屋からの脱皮して、食の遊園地化という方向性が感じられた。
だって、綿菓子の機械が置いてあって、孫らしい少年と祖父らしい初老の紳士が、大笑いしながら綿菓子の出来をきそってるんだもの。
店外ののぼり旗には、「うなぎ寿司」とあり、うなぎ握りを腹一杯食べるという珍しい経験をした。
うなぎは寿司飯によく合います。
もしかしたら、うなぎは昔から寿司にしていたのかもしれないが、ぼくは数年前に、小僧寿司の手巻きで初めて食べて、それ以来、好きになりました。
高級な寿司屋にはほとんど行ったことがないから、そこら辺の事情はよくわかりません。
手軽に食べられて、香ばしくて甘くて、華やかな味だから、食べる玩具、といった趣があると思いました。
実は子供の頃、ウナギに対して偏見を持っていました。
大人たちからだまされていただけかもしれないのですが、うなぎは精力がつくから、精力が必要なある種の人、あるいはそのような状況で食べるものという思いこみでした。
だから、子供の頃はうなぎを食べた記憶がありません。
似たようなものですが、アナゴはよく食べました。
刻んで散らし寿司の具。
蒲焼丼。
刻んで卵とじ。
アナゴは上品でうなぎは下品、という考え方が、瀬戸内海沿いの一部にはいまでも残っているのではないでしょうか。
「あんな山奥じゃ、アナゴなんて口に入らないからウナギだの蛇だのを食ってるんだ」っていう海の民のヘンな優越感があったりして。
ぼくが生まれ育ったのは、海と山の中間地点だったから、山側にある伯父さんの家に行き、庭先に流れる小川の石垣に先祖伝来の竹かごをつけると、翌朝には愚かなウナギがはいっていることもあるという、実にまあ粗放な取り方をしていました。
ウナギは金を出して買うものとは思っていませんでした。
そういう食品は他にもあって、たとえば、柿、イチジク、アサリ、ハマグリ。
小川で採れるシジミ。
わらび。
なんだか、悲しくなってきた。今はすべてお金と引き換えです。
まあ、そういわずに、気を取り直して、最後まで続けよう。
近年、養殖のウナギの蒲焼きが、手頃な価格で手に入りますが、これを使ったおいしいウナギ飯。
モチ米と普通の米を半々に混ぜて、普通に研いでザルに空ける。
ざっと水がきれたら、少量のゴマ油で軽く米を炒め、普通より少な目の水加減で炊きます。
炊き込みおこわなどの設定のある電気炊飯器なら、その指示に従います。
この時点では、ウナギのたれは入れますが、ウナギはいれません。ここ、重要です。
炊きあがったら、ウナギをのせます。
残りのタレをウナギにかけます。
そのまま20分くらい放置。
これで、ふんわりとします。
ウナギと、甘辛の醤油ダレと炊きたてのご飯。
うまくないわけがない。
ゴマ油とモチ米が中華風の雰囲気を出してくれます。
あ、こんなこと書いてたら、食べたくなってきた、真夜中なのに困ったなあ。
弁当箱に詰めて、冷めてから食するのも旅情があります。
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