瓶詰め⇒メロン
メロン
存在感のある、華やかな果物といえば、筆頭はパイナップルだと思う。
これは、沖縄で見たことがあるが、栽培中も場所をとる果物である。
3メートル四方くらいに硬い葉が広がり、そのなかに一つだけあのパイナップルの実が実っていたのである。
とても場所を取る。
それに比べると、ミカンにしろリンゴにしろ、せせこましいほどにたわわに実る。
生まれ育ちからしてパイナップルは場所をとるのだから、果物店の店先でもいばっているかというと、そうでもない。
資本主義の世の中では、価値はすべて金額に置き換えられる。
そして、縁日の食べ歩き用に細長くカットされて割り箸を差し込まれたり、もっと悲惨なやつは缶詰にされて、みっしりと蟄居させられることになる。
あれだけ、わがまま放題に育てられた果物が、百円均一の缶詰に、押し込まれている様は、不憫でならないが自業自得なのかもしれない。
その点、メロンは成育中も、ごろんところがっていて、あまり威張っている印象はない。
だから、その徳目により、店先ではなく店の奥、贈答品としてもその他大勢の数の力を借りずに、自分専用の箱をもっている。
缶詰にだってされることはない(あるのかもしれないが、ぼくは見たことがない)。
実は、ここまでの長い前フリはメロンの漬物について、語ってみたいからでした。
少なくとも、2005年現在、「漬け物といえば、やっぱりメロンですね」、ということにはなっておらず、どちらかというと、
「メロンの漬け物ってきいたことあります?」
「ああ、そんなのがあるらしいね」、というくらいの認知度でしょう。ね。
間引いたモノの有効利用ということではじまったと聞いたことがあるが、「メロンですよ」といわれなければ、気がつかないほどの地味なお姿になりはてて、醤油か味噌の色に染まっていた。
値段も一個350円くらいだったから、手が出ない価格ではない、が、購入したことがない。
いつも、気になるし、わりとよく見かけるのだから、いろんな人が愛好しているには違いないが、食べたことがない。
今、おみやげにもらいたいもののベスト3を決めたら、かなり上位にくると思う。
つけものというやつは、うまいからといってそれだけで一食分のおかずとなるわけでもなく、毎食数切れ、一週間やそこらは食卓にお出まし願うもの。だからこそ、自分で購入するときには保守的になるのだろう。
そこら辺が、白菜の浅漬けやナスのぬか漬けとは違うところだ。
メロンの漬け物。
出張先で今日も見かけた。
醤油まみれの真空パックのなかで苦しそうだった。
いつものように、どうしようかなあ、と軽く迷って、やっぱりやめた。
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